広島県民が本当に食べている!ガチの広島名物グルメまとめ

ガイドブックや観光サイトで見かける「広島名物」。でも、地元民としては「これって本当に広島の定番?」と首をかしげたくなるものも…。観光向けに作られた新しい料理や、今ではあまり食べられなくなった伝統食なども多く、正直ピンとこないこともあります。
この記事では、広島生まれ・広島育ちの筆者が、今も広島県民が日常的に口にしている「リアルな広島名物」をご紹介します!
広島風お好み焼き
広島グルメといえば、やっぱり外せないのが「広島風お好み焼き」。
広島県民にとっては、日常的に食べる“生活の味”であり、地元の人の多くが大好きな料理です。
クレープ状に薄く焼いた生地に、山盛りのキャベツ、もやし、豚バラ肉、中華麺、卵を順に重ねて焼き、仕上げに甘辛いお好みソースをたっぷり塗る――これが広島スタイル。
このスタイルは、戦前から食べられていたおやつ「一銭洋食」から発展したものと言われています。一銭洋食は小麦粉を溶いた生地にネギなどをのせ、ウスターソースをかけて食べる簡易な洋食風のおやつでした。
戦後、小麦粉やキャベツなど手に入りやすい材料でお好み焼きを作り、生計を立てた女性たちによって「みっちゃん」「ふみちゃん」など“◯◯ちゃん”という名前のお店が多数生まれたというエピソードも、広島らしい背景です。
中の麺は「そば」か「うどん」から選べるのが地元流。
注文時は「そば肉玉」「うどん肉玉」のように伝えるのが定番です。個人的には、イカ天を中に入れてもらうのが好み!(昔はイカ天入りがデフォルトでしたが、最近は有料トッピングが一般的になってきました…)
鉄板からヘラで直接食べるスタイルが有名ですが、実際にはテイクアウトや出前で食べることも多く、家庭でのおかず代わりにもなっています。最近ではマヨネーズやネギをのせるお店も増えていますが、広島では「お好みソースと青のりのみ」のシンプルなスタイルを好む人が多いように感じます。

イカ天
広島県民にとって、イカ天は“トッピング”であり“おやつ”であり“おつまみ”でもある万能フード。
尾道が発祥とされており、薄くローストしたスルメイカに衣をつけて揚げた、ちょっとスパイシーでパンチのある味わいが特徴です。いわゆる「イカの天ぷら」とは別物です。
ソフトタイプとクリスピータイプがありますが、地元の定番はソフトタイプ。スーパーでは大袋入りでよく見かけます。
おすすめの食べ方は、トースターで軽く炙り、表面の油がジュワジュワしてきたらキッチンペーパーで油を吸い取り、少し冷ましてから食べる方法。香ばしさと食感がぐっと引き立ちます。
お好み焼きや焼きそばの具材にも最適です。

ホルモン天ぷら・せんじがら
広島市内では、ホルモン文化も深く根づいています。
かつて市内に屠殺場があったことから、内臓料理が地元でよく食べられるようになりました。
ホルモン天ぷら
牛の内臓に衣をつけて揚げたシンプルな天ぷら。
一見クセが強そうですが、意外なほどあっさりしていて、プリッとした食感と噛むほどあふれる旨味がクセになります。広島市西部(西広島周辺)が本場ですが、最近では市内の居酒屋でも見かけるようになりました。
せんじがら
豚ホルモンをじっくり揚げて乾燥させたおつまみ。ジャーキーのように硬く、噛み応えがあるのが特徴で、濃いめの塩味と肉の野生味が、ビールにぴったり!
豚のほか、牛ホルモンや砂肝バージョンもあります。スーパーやコンビニで小袋で売られているので、お土産にもおすすめ。
やおぎも(牛の肺)
やおぎもとは、牛の肺を甘辛く煮込んだ料理で、スーパーのお惣菜コーナーや居酒屋で見かけます。
レバーのような名前ですが、味も食感も全く別物。サクッ・クニャッとした独特の食感は、すじ肉やこんにゃくに近く、血のクセも少ないので、レバーが苦手な人でも挑戦しやすいです。
がんす
魚のすり身にパン粉をつけて揚げた「がんす」は、広島ならではの練り物。
家庭で作るものではなく、スーパーや練り物専門店で購入するのが一般的。トースターで焼いて食べると外がカリッと香ばしく、中はふわっとしてとても美味しいです。
広島駅や道の駅のご当地コーナー、最近ではコンビニでも見かけるので、見つけたらぜひ手に取ってみてください。

小鰯(いわし)
広島の庶民の魚といえば、小鰯(こいわし)。
旬の夏になると居酒屋で刺身や天ぷらとしてよく提供されます。特に刺身は鮮度が命なので、他の地域ではなかなか味わえない貴重な逸品。わさびではなく「生姜醤油」で食べるのが広島流です。
また、イワシ類全般よく食べられており、カタクチイワシを干して作る「いりこ」は、広島のお味噌汁の基本出汁。懐かしい家庭の味です。

牡蠣
広島の海の幸といえばやはり「牡蠣」。
宮島方面へ行けば、海に浮かぶたくさんの牡蠣筏(いかだ)が見られ、冬になると鮮魚コーナーには地元産の牡蠣がずらりと並びます。
県民としては「そんなに食べてる自覚はないかも…?」と思うのですが、広島県の牡蠣の消費量は全国トップ。
冬の風物詩「牡蠣小屋」では、牡蠣をセルフで焼いて食べるスタイルが人気。ライブ感と出来立てアツアツの旨さは格別です。
牡蠣エキスを加えた「牡蠣醤油」や、牡蠣入りの佃煮など、牡蠣を使った食品もたくさんあり、お土産にも人気です。

広島のうどん文化
うどんは、広島市民にとって最もなじみのある麺。
讃岐うどんのようなコシはなく、ツルッとしつつも柔らかめの麺に、関西風の甘めで出汁のきいたつゆが特徴です。
広島市内の2大うどん店は「ちから」と「むさし」。うどんとおむすびが人気で、どちらも広島駅構内に店舗があるので、旅行中でも立ち寄りやすくおすすめです。
呉市の「細うどん」も注目。港町の忙しい労働者のために、素早く提供でき早くたくさん食べられるように、通常よりも細めに進化したうどんは、よりツルツルと食べやすく、つゆもよく絡んで美味しいですよ。

中華そば(広島ラーメン)
広島市内では「ラーメン」とは呼ばず、「中華そば」と呼ぶのが一般的。
醤油ベースの濁り系スープに、鶏ガラ・豚骨・野菜の旨味が溶け込み、スープは白濁していますが脂っこさは控えめ。トッピングはチャーシュー・もやし・メンマ・ネギという潔さ。
あっさりだけどコクがあり、どこか懐かしい味わいです。

汁なし担々麺
比較的新しいご当地グルメながら、今や広島を代表する名物料理のひとつ。
2002年に広島市中区のラーメン店だった「きさく」が提供を開始し、「國松」などの人気店の登場でブームに。醬のコクが効いた肉味噌の旨味と唐辛子の辛さ、花山椒のしびれが癖になります。
ポイントは「これでもか!」というくらいよく混ぜて食べること!

広島つけ麺
広島のつけ麺は冷たく、ピリ辛なのが特徴。
唐辛子とラー油入りの鶏ガラ醤油ベースの真っ赤なつけだれに、冷水で締めた中華麺とゆでキャベツをたっぷり絡めて食べる、暑い日にもぴったりのご当地グルメです。
発祥は広島市中区の「新華園」が夏限定メニューとして提供した冷麺から。人気のため通年食べられるようになり、2000年代くらいから一気に専門店が増えて広く食べられるようになりました。

広島菜
高菜や野沢菜に似た、広島の伝統野菜「広島菜」。漬物に加工した「広島菜漬」として売られています。
わさびのようなピリッとした風味が特徴で、刻んで混ぜご飯にしたり、おにぎりに巻いたりと幅広く使われています。
どこのスーパーのお漬物コーナーにもある定番食材で、お土産にもおすすめ!

ふりかけ
広島には、日本を代表するふりかけメーカーが2社あります。
- 三島食品:
「ゆかり(赤紫蘇のふりかけ)」有名。「ひろし(広島菜)」「かおり(青紫蘇)」など多彩でユニークなシリーズを展開しています。 - 田中食品:
「旅行の友」は、戦時中に海軍のために開発されたロングセラー。小魚・卵・海苔入りで、万人に愛される味です。
スーパーのふりかけ売り場は、広島で作られたふりかけがずらっと並び、見るのも楽しいですよ!リーズナブルで軽く嵩張らないので、気軽なお土産味のおすすめです。

最後に・・・
広島グルメは、観光名所の食堂よりも、実はスーパーや地元の居酒屋、お惣菜コーナーにこそ本当の魅力が詰まっています。
地元の人が日常的に食べている「本物の広島の味」を、ぜひ味わってみてくださいね。